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投稿時間:2002/11/01(Fri) 03:00
投稿者名:GM
Eメール:lints@mb.infoweb.ne.jp
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隠された真実の影:サイベル宅前(全員)
>「ねぇ、アルゴ。二つ、あんたは間違ってる。
> まず一つ。アーガットはあんたの仲間じゃないよ。『希望』を共有しているわけではないから。
> だからあんたの話はおれが聞こう。それがどういうことなのか、おれが応えてやるよ。それで、あんたが思ってる答えと比べて良いほうを選択すれば良い。でも、今じゃない。この状況で最も救いを必要としているのはあんたたち二人だから」

ラクシェスの言葉が終わるか終わらないうちに、アルゴが笑い出した。
「あっはははははは! あたし達が救いを必要としてる? ナニソレ、最高に笑えるわ、そうよね、アー!」
神経を逆なでするような、甲高い声。
「そんなに笑うものじゃないよ、アルゴ。彼らは何も知らないだけなんだから」
アルゴをたしなめるアーガットの口元にも、微笑みがある
黒い瞳が、すっと細められる。優しげな風貌が消え、代わりに口元だけ微笑みが張り付いた、冷たい顔になる。

>「ねぇアーガット。あんたはアルゴの二つ目のそれと同じ間違をしている。
>『救い』は、『希望』を抱いて自分で手に入れるもんじゃない。『救い』ってのは、『希望』を他人に与えて共有することだ。でも、いつもうまくいくわけじゃないし、そうすることで自分や、他人を傷つけてしまうことだってあるかもしれない。──サイベルだって普通の女の子だ。あんたの言う通り、傷つくこともあるだろうさ。でも、彼女には立ち直れる強さがある。この程度のことじゃ、なんてことはないさ。でも、そうするにはあんたが勇気を出さなきゃいけない。
> あんたたちは、ひとりじゃ立ち直れないかもしれない。
> 後ろめたいことがあるなら、言ってみな。おれが聞いて、応えてやるから」

「…ありがとう。君の心遣いには本当に感謝してるよ」
にっこり微笑む。心の底からの感謝の笑顔。しかし、それはすぐに消えた。
「『『救い』は、『希望』を抱いて自分で手に入れるもんじゃない。『救い』ってのは、『希望』を他人に与えて共有すること』…か。
チャ・ザを信望する君らしい…とても、君らしい考え方ですね。もし僕が、ただの恋に迷う普通の若者なら、涙を流して感激したでしょう…さっきの、オリヴィエさんの言葉ともども」

「ならば、僕の与える希望は…『死』でしょうね。永遠の安息をもたらすその“力”…残念ながら、他者と共有することはできないけれど」

「ラクシェスさん。僕はさっき、サイベルにことの全てを話しました。
僕が何者で、何の目的があってこの村へ戻ってきたか…そして、なぜ“毒麦”が発生したかも。
彼女には到底受け入れがたいことでしょうね。でも…時間をかけて、分かって貰うつもりですから」ラクシェスを見つめるアーガットの瞳に、ついさっきまでの優しい光はない。
「確かに、サイベルは強い娘だよね。あんなつらい思いして畑を作り上げたんだもの。
これってお父さんの形見…みたいなものだよね…その畑を穢したのは、サイベルのせいじゃない。僕のかけた呪い…」
「さっき礼拝堂で、僕は彼女にかけた。『彼女の触れた麦の全てが毒麦になる』って。
みんなが見てる麦は、その結果ですよ…我が女神の慈悲を具現化する力を、彼女に授けました」

「なんてことなの……」
呻くように、ケーゼが頭を抱える。
「呪いって…一体どうしてなの? あなたはマーファ神官で、領主の使いじゃなかったの?
あなたは…サイベルを愛してたんじゃなかったの!?」
混乱と動揺で震える声をかろうじて押さえていた。

「ええ、僕のサイベルに対する気持ちは、なんら変わりありません。
でもね、ケーゼ先生…僕はあなたの考えているような人間じゃありません。…正直、『優柔不断な優男』を演じるのにも、疲れ気味でしてね」
冗談とも思えないことを言う。
「オリヴィエさんに言われましたよ。『僕の手はすでに血にまみれてる』って…鋭い人です。何も知らないのに、本質を見抜く目をお持ちだ。過去を見抜かれた思いがしましたよ…」


と、アルゴがふと視線を外した。
「テムレン? どしたのさ」
冒険者達の背後へ声をかける。振り向くと、銀髪のエルフが大剣を背負ってこちらへ歩いて来る。
テムレンはラクシェスやリールモントフに一瞥をくれつつ素通りし、アーガットの前へ歩み寄った。「重い」
ぼやきながら大剣をアーガットへ渡す。
「これを持ってきたってことは…もしかして?」
アルゴの問いかけに
「ああ、そう言うことだ。連中があれを見つけた」
低い声で答える。『連中』というのは、アルバートや村に残った冒険者のことか。
「…ほう、もう出てきたか…扉を破壊したあの少年…なかなかの腕と見た…」
使い魔でも潜ませているのだろうか、テムレンが神殿の様子を伝える。
「…そうですか」
アーガットは静かに目を伏せる。
「一緒に祭りを楽しみたかったんですけどね…サイベルが刈り取った麦で作ったパン…食べて貰いたかったですね」
微笑みを絶やさず、残念そうに呟いた。


「リール…って行ったわね、エルフさん」
ケーゼがリールにそっと囁く。
「すぐ村に戻って、神殿にいる人達を呼んでらっしゃい! アーガットが邪神官と気づかなかっただなんて、痛恨の極みだわ。それも15年間も!」
きつく噛んだ唇に、血が滲んでみえる。
「私の命に代えてでも、サイベルを取り返さなきゃ!」



テムレンの行方を聞いて回るオリヴィエとアルバートに、村人のひとりが丘へ上がっていく彼を見た、と教えた。
「大きな剣のようなものを抱えてたから、アーガット様へお渡しにいったんじゃないだろうかな」
早くも酒を引っかけている親父が、上機嫌で教えてくれた。

レイピアを取りに行ったセバスと合流し、丘を越える冒険者達。
近づくと、確かに、サイベルの家の前にアーガットが立っている。その隣にアルゴとテムレン。
ラクシェスが向かい合うように、アーガットと話を続けている。
少し後ろにケーゼが緊張した面持ちで様子を見ている、そして、リールモントフもいる…。

投稿時間:2002/11/01(Fri) 17:40
投稿者名:ラクシェス=アイレスバロウ
Eメール:hinabe@cam.hi-ho.ne.jp
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あんたの真実は?
 アーガットは、自分のやっていることがどういうことなのか、判っているのだろう。テムレンが加わることで、状況ははっきりとしてきた。話を中断させて、斬りかかるか? 一撃で倒せそうな相手は、この場合エルフのテムレンだろう。。。しかし、彼に斬り付けることができたところで、この配置ではケーゼの前が空いてしまう。
 おれは、テムレンに斬りかかる選択肢を捨て、後手を選ぶことにした。

「──それが事実だとして、アーガット、あんたは結局何がしたかったの? 村への復讐? それとも、サイベルヘの愛情表現? あんたの口から真実を聞かせて欲しい」

投稿時間:2002/11/01(Fri) 22:40
投稿者名:オリヴィエ・レンデル
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タイトル:
仮面。
「ありがとう、おじさん!」

 駆け抜けざまに叫ぶ。
 ちくしょう…怪しいことなんて、とうに判ってたのに!!

 悔んだところで、こぼれたミルクは元には戻らない…
 あれ?酸っぱくなったミルク、だっけ?

 自問自答しながら走る、走る、走る…

 丘を越えた向こうに、人影が見えた。
 ラクシェス、リールモントフ、ケーゼ…
 アーガット、アルゴ、テムレン…
 対峙するように立った彼らはことここに至って己の立ち位置を明確にした。

 アルバートさん、セバスティアヌスさん…二人も僕に続いてる筈。

「アルバートさん、あの小屋は…サイベルさんの小屋ですよね?」

 後ろを見る余裕はない。

「…サイベルさんの姿が見えないのが気にかかります。押さえていただけますか?」

 それだけ言って、駆け下る。

『…アーガットさん…やりなおす気はない、と言う事ですか?』

「…答えを、もらいに、来ましたよ…!」

 剣の鞘を払う…。 

投稿時間:2002/11/02(Sat) 01:08
投稿者名:アルバート・バルバロッサ
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タイトル:
elf hunt
> 「…サイベルさんの姿が見えないのが気にかかります。押さえていただけますか?」

「奴等が茶番を続けたければ、殺すこともないだろう。チャームやコンフュージョンくらいはしでかすかもしれないが。
村人を単純に虐殺するだけでなく、マーファの祭を汚すというのも一つの目的だろうしな」

俺は徐に畑の土と藁を身体に塗し、畑を伏せながら進んでいく。
「先手必勝ってことだ。
一撃目は任せてもらおう」
ハンターはいつもこんなことをしているのだろうか。
目立たないよう注意しながら早く近づく。
ただ、俺の獲物は耳の長い兎ではなく、胸糞悪いエルフだが。

投稿時間:2002/11/02(Sat) 01:33
投稿者名:セバスティアヌス
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タイトル:
Teach sin the carriage of a holy saint
「偉大なるマイリーよ、ご武運を」

私にはアーガット様がどういった事情をお持ちなのかを伺う余裕はございません。

使い魔を使役できる魔術師、呪いの儀式を執り行える神官、それに連れる精霊使い…実力差はございます。

ですがここで引くことはできかねます。

ケーゼ様も戦われるご覚悟でいらっしゃるのですから…

投稿時間:2002/11/02(Sat) 01:44
投稿者名:リールモントフ
Eメール:
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タイトル:
汚れた手
「あなたは……満足なのですか。サイベルさんを傷つけたことに、彼女の希望の麦を、打ち砕いたことに。あなたの優しさは全て偽物だったのですか。マーファの教えに心ひかれていたと聞きましたけれど。
今の、サイベルさんの姿に、喜びを覚えるのですか。あなたの心は、最愛の者が希望を打ち砕くのを、正しいことだと判断したのでしょうか」
私は、再び、アルゴちゃんの言葉を思い出していました。「こうして見ると、平和でのどかな風に見えるんだけどねー」という。あの時、何かが心に引っかかったのでした。……もしかしたら、一見平和に見える村でありながら、人間の行動の汚さを本性、とするような言い方が気にさわったのかもしれません。……両方とも、本性だというのに。

視線をはじめてみるテムレンに向ける。ごく自然と目つきがけわしくなるのが判りました。……おそらく、彼は、私がもっとも嫌悪するタイプでしょう。同じ森の兄弟……エルフであるだけになおさら。
『森の兄弟、テムレン。そなたは闇に堕落したのか。エルフの誇りと知恵を捨て、愚かにも敵なる暗黒に身を捧げたのか』
エルフ語で話しかけました。私達の最も忌避すべき敵、ダークエルフを糾弾するかのように。

投稿時間:2002/11/02(Sat) 02:26
投稿者名:GM
Eメール:lints@mb.infoweb.ne.jp
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タイトル:
Will You Be Ready
>「──それが事実だとして、アーガット、あんたは結局何がしたかったの? 村への復讐? それとも、サイベルヘの愛情表現? あんたの口から真実を聞かせて欲しい」

「どちらでもあって、どちらでもない…そうとしか言えません」
ラクシェスの問いかけに、まだ微笑む余裕があったアーガットだが、

>「あなたは……満足なのですか。サイベルさんを傷つけたことに、彼女の希望の麦を、打ち砕いたことに。あなたの優しさは全て偽物だったのですか。マーファの教えに心ひかれていたと聞きましたけれど。
>今の、サイベルさんの姿に、喜びを覚えるのですか。あなたの心は、最愛の者が希望を打ち砕くのを、正しいことだと判断したのでしょうか」

リールモントフの叫びに、一瞬、その顔をひどく歪めた。まるで、小さい子供が泣き出しそうな、そんな顔だった。
しかし、すぐ元の穏やかな笑顔を取り戻す。

「ええ、僕はマーファに救いを求めましたとも…そう、どれほど大地母神に救いを求め焦がれたでしょう」
リールモントフの問いかけに、静かに答えるアーガット。
「死女神を狂信する我が両親から逃れたかった。サイベルと共に、光の道を歩みたかった。
しかし…あの夜、両親を手に掛けた僕に救いの声を賜ったのは、他ならぬ死女神でした。
あの時の…僕の絶望と孤独を…一体誰が理解できるでしょう。
おじさんを殺し、サイベルを生贄にしようとした両親…僕は許せなかった。サイベルが犠牲になるのは…だから僕は両親を殺し、サイベルを救おうとした…なのに…マーファは何の声も差し向けてはくれなかった!」

その笑顔は、今にも粉々に壊れてしまいそうだった。

その時、神殿にいた冒険者達が次々駆け込んできた。

>「…答えを、もらいに、来ましたよ…!」
抜剣したオリヴィエが、走り込んだ勢いそのままアーガットの前へ立ちはだかる。

>「偉大なるマイリーよ、ご武運を」
セバスティアヌスが、テムレンの前へ立つ。

アルバートも黒く染まった畑の向こうに身を潜め、静かに近づいている。


>『森の兄弟、テムレン。そなたは闇に堕落したのか。エルフの誇りと知恵を捨て、愚かにも敵なる暗黒に身を捧げたのか』

リールモントフのエルフ語の叫びに、テムレンが顔を歪めて笑う。あきらかに、彼を嘲笑していた。
『暗黒こそ我が故郷。そなたは敵ぞ』
そして右手で顔を覆いながら念を込める、白い肌の色が溶けるように消え、漆黒の肌が現れた。
『これで手加減なく戦えよう? 兄弟』
銀の髪を揺らし、銀の瞳でリールを見据える−−−テムレンはダークエルフだったのだ。

「もーめんどくさいなあ。野蛮なこと嫌いなんだよねー」
唇を尖らせながらも、アルゴは腰に下げた曲刀を引き抜いた。

「…そうですか…それほどまでに…くくく…」
喉を鳴らすように、アーガットは笑う。
「先生も僕と戦うのですか? 先の分かる戦いを仕掛ける愚かな真似は、先生には似合わないですよ」
「負けると分かってても、引けないことってあるのよ。教えてあげなかった?」
ケーゼはじっとアーガットを見つめる。
「あなたの苦しみを分かってあげられなかった…これは私の過ち。
そのことで、どんなに私を責めたって構わない。でも、サイベルを引き込むことだけは許さないわ」
「あなたを恨んだことはありませんよ、むしろ感謝してます。だけど僕からサイベルを取り上げるなら、たとえ先生であっても許しはしません」

大剣の鞘を抜き放ち、満面の笑顔を浮かべた。

「愚かなるものどもに、御女神カーディスの慈悲を」