戻る


投稿時間:2002/09/26(Thu) 01:16
投稿者名:GM
Eメール:lints@mb.infoweb.ne.jp
URL :
タイトル:
水車小屋(オリヴィエ)
オリヴィエが水車小屋に着いた時、例の目配せの男がそそくさと小屋から離れたところだった。
入れ違いに、黒髪の若者が駆けてくる。
「すみませんー。細々したことで時間食っちゃって」
人当たりのいい笑顔で男達に声を掛け、
「あ、君ですね。村の人から話は聞きました。猟師さんが見学したいって…。
僕はアーガット・ルリオン。見ての通りの神官です。ようこそ、リアミ村へ」
人なつっこい笑顔でオリヴィエに挨拶をした。

水車小屋の外と中で、2人の男が作業をしていた。
外の男は受け取った落ち穂から穂を外し、ふるいにかけて餞別している。
それを小屋の中の水車小屋に据えられている碓で突き、更に石臼で挽いて粉にしている。
中に居る男が粉を集め、小さめの麻袋に詰めている。

とりあえず滞りなく進む作業を見ながら
「オリヴィエさん、でしたっけ? 親方さんやお連れさんと旅をしてるんですか?」
と、アーガットが話しかけてくる。
「僕も冒険者やってて、仲間といろんな所を見てきました。落ち着いたら、旅の話でも聞かせてくださいな」
にこやかに話しかけるアーガットだが、オリヴィエには分かった。
その目が抜け目なく男達に注がれていることを…。

投稿時間:2002/09/26(Thu) 23:52
投稿者名:オリヴィエ・レンデル
Eメール:
URL :
タイトル:
対峙。
 …さっきセバスティアヌスさんに教えてもらった男は、消えている。 
 後を追いかけることは可能だろうか…しかし、今問い詰めたところで白を切られては適わない。
 何がしかの悪事が行われるならば、それを捕らえることが今は肝要。
 そう思って、今は追わないでいた。

 …水車小屋の中の人達は淀みなく働き、動きつづけている。

> 「オリヴィエさん、でしたっけ? 親方さんやお連れさんと旅をしてるんですか?」
> と、アーガットが話しかけてくる。

「あ、どうも…オリヴィエ、オリヴィエ・レンデルと言います。おっしゃる通り、親方を訪ねて旅をしています。後で神殿の方にも寄らせて頂きたいのですけれど、宜しいでしょうか?」
 
 重ね重ね思う事だけれど、槌矛は隠して持っていて正解だったな、と思う。
 石弓ならば猟師の武器としても無理過ぎることはないし、剣は旅をするものであれば持っていてもおかしくはない。
 そして、狩りというのは何が起こってもおかしくない、そういう危険な事であるのは変わらない。
 だから、神に祈ることは、猟師にとっては当然の事柄なのだ。

> 「僕も冒険者やってて、仲間といろんな所を見てきました。落ち着いたら、旅の話でも聞かせてくださいな」

「冒険者でらしたんですか?こちらこそお願いしたいくらいですよ。」
 色々と聞きたい事もあるし。

> にこやかに話しかけるアーガットだが、オリヴィエには分かった。
> その目が抜け目なく男達に注がれていることを…。

 負けていられない。
 僕の役目は、村に起こっていることを見定めること。
 そしてそれに対処すること。
 其の為には自分の目で見ることが何よりも重要なんだ。

 …例の落穂に触れたくない、という素振りをしてる人間はいるだろうか?
 いれば、そいつは噂を信じている人間。すなわち、人為的に悪をなす必要を感じていない人間という事になる。
 そうでない奴は特に要注意かな…特に不自然な行動があれば…。 

投稿時間:2002/09/27(Fri) 22:32
投稿者名:GM
Eメール:lints@mb.infoweb.ne.jp
URL :
タイトル:
不穏
>「あ、どうも…オリヴィエ、オリヴィエ・レンデルと言います。おっしゃる通り、親方を訪ねて旅をしています。後で神殿の方にも寄らせて頂きたいのですけれど、宜しいでしょうか?」

「ええ、いつでもいらしてくださいね」
アーガットは好意的な言葉をオリヴィエに返す。

作業に携わる男達は、見た目は普通に作業している。
強いて言えば、落ち穂から実を外す担当の者が、その一粒一粒を丹念ににチェックしている。
その丁寧さは、不自然と言えるだろう。

>「冒険者でらしたんですか?」
その問いかけに、アーガットは反応する、
「ええ、5年前に両親が亡くなって、すぐに村を出たんです…ああ、僕、ここの出身で、村のみんなのことは小さい頃からよく知ってるんですよ。
だから、みんなが魔女の噂で幼なじみを苛めてるなんて…」
つらそうに顔を歪め、ため息をつく。

その時。

オリヴィエの視界の隅で粉を袋詰めしている男が、妙な動きをした。
世間話をする監視者の様子を伺いながら、ズボンのポケットに手を忍ばせていたのだ。
「クーへおじさん、動かないで!」
アーガットも気が付いたのか、袋詰めの作業をしている男の名を呼んた。
クーへと呼ばれた男はビクリとし、そのまま身体を硬直させた。

投稿時間:2002/09/27(Fri) 23:47
投稿者名:オリヴィエ・レンデル
Eメール:
URL :
タイトル:
威圧。
> 「ええ、いつでもいらしてくださいね」
> アーガットは好意的な言葉をオリヴィエに返す。

「意外とすぐに、“獲物”と共に訪れることもあるやも知れませんね。自営の為の行いならば許されるのでしょう?」

 言外の含みに、この人ならば絶対に気付くはず。
 
> 作業に携わる男達は、見た目は普通に作業している。
> 強いて言えば、落ち穂から実を外す担当の者が、その一粒一粒を丹念ににチェックしている。
> その丁寧さは、不自然と言えるだろう。

 ……気持ちは分かる。
 村人にしてみれば、毒麦なのかもしれない、得体の知れない落穂に見えている事だろう。
 それにしても…と無知を嘆きたい心と共に、根拠のない噂に怯える彼らの姿に、自分と重なるものを垣間見たりもする。
 勿論、僕が求めるのはそのような無知を切り払う知性と強さ。
 今の状況に打ち勝つ事が、求められている事であり、自ら求めることでもある。

> その問いかけに、アーガットは反応する、
> 「ええ、5年前に両親が亡くなって、すぐに村を出たんです…ああ、僕、ここの出身で、村のみんなのことは小さい頃からよく知ってるんですよ。
> だから、みんなが魔女の噂で幼なじみを苛めてるなんて…」
> つらそうに顔を歪め、ため息をつく。

「幼馴染…サイベルさんのことですか?」
 ひそひそ声で。

「なんでまた、魔女だなんて言われてるんですかね?理由に心当たりなんかあります?」

> その時。
>
> オリヴィエの視界の隅で粉を袋詰めしている男が、妙な動きをした。
> 世間話をする監視者の様子を伺いながら、ズボンのポケットに手を忍ばせていたのだ。
> 「クーへおじさん、動かないで!」
> アーガットも気が付いたのか、袋詰めの作業をしている男の名を呼んた。
> クーへと呼ばれた男はビクリとし、そのまま身体を硬直させた。

 刹那。
 僕の体が、肉食獣の俊敏さで動く。

 僕の指が万力の強さで、クーへと呼ばれた男の人の腕を挟みこむ。
 相手は痛そうに顔をしかめただろうか?

「…クーへさん…そのままゆっくりと手をポケットから出してくださいますよね?」
 耳元で囁くように。
「…先ほどの方の指示ですね?」

「…さて、クーへさんからここにいる皆さんにお話があるようですよ?さぁ、クーへさん、どうぞ!」

投稿時間:2002/09/29(Sun) 11:01
投稿者名:GM
Eメール:lints@mb.infoweb.ne.jp
URL :
タイトル:
薬ビン
アーガットの呼びかけに反応し、瞬時に動いたオリヴィエ。
戦士の腕に掴まれた男は、哀れなほどおどおどしていた。
外で作業していた男も、クーへのそばに着いて、怯えたような目で二人を見ている。

クーへは、オリヴィエの声に促されるように、そっとポケットから手を引き抜く。
出されたのは、小さなビン。なにやら粉末が入っていた。

アーガットはクーへの前に跪くと
「クーへおじさん、正直に言ってください。これはなんですか? どうしてこんなことを?」
穏やかな口調でさとす。しかし、男達はアーガットから目をそらし、怯えるような素振りのまま答えようとはしなかった。

アーガットはひとまず
「オリヴィエさん、この薬をケーゼ先生のところへ持っていってくれませんか? 先生なら、これが何なのか分かると思いますから」
と、オリヴィエに小ビンを手渡した。さらに
「それから、このことは先生以外誰にも言わないでください。
確かに悪質なことだけど、クーへおじさんはこんな大それたことをする人じゃないんです。
なにか事情があるのでしょう…もう少し、内密な調査が必要かもしれません」
と、念を押した。

「ひとまず、彼らに作業をさせたいと思います。ここで騒ぎを大きくすると、サイベルの立場が悪くなるかもしれません。
少なくとも、二人がこれから麦に悪さをすることはないでしょう…。僕も引き続き見張っています、何かあったらお呼びしますから」
と、提案した。

そして、

「さっきの話の続きですけど…心当たりはね、ありますよ…」
オリヴィエの耳元で、そっと囁くアーガット。ひとつ呼吸を置いて。
「それはね、僕のせいなんです」
そっと微笑む。それは、哀しみと深い孤独に満ちていた。

投稿時間:2002/09/29(Sun) 23:39
投稿者名:オリヴィエ・レンデル
Eメール:
URL :
タイトル:
青々。
> クーへは、オリヴィエの声に促されるように、そっとポケットから手を引き抜く。
> 出されたのは、小さなビン。なにやら粉末が入っていた。

「……やっぱり。」
 それだけつぶやいた。
 あんまり信じたくはない出来事ではある。人を信じる事が、辛くなるから。
「…村長さんが、ねぇ…」

> アーガットはひとまず
> 「オリヴィエさん、この薬をケーゼ先生のところへ持っていってくれませんか? 先生なら、これが何なのか分かると思いますから」
> と、オリヴィエに小ビンを手渡した。さらに
> 「それから、このことは先生以外誰にも言わないでください。
> 確かに悪質なことだけど、クーへおじさんはこんな大それたことをする人じゃないんです。
> なにか事情があるのでしょう…もう少し、内密な調査が必要かもしれません」
> と、念を押した。

 心得た、とばかりに一つ大きく頷いた。
 流石にこれから先は“妨害”はないだろう、と思ったからだ。
 まぁ、魔女をでっち上げたい人間にとっては、魔女である証=毒の麦、という図式が成り立てばそれで全てに片がつくはずだから、この先もずっと妨害がないとは言い切れない部分もあるけれど。
 
> 「ひとまず、彼らに作業をさせたいと思います。ここで騒ぎを大きくすると、サイベルの立場が悪くなるかもしれません。
> 少なくとも、二人がこれから麦に悪さをすることはないでしょう…。僕も引き続き見張っています、何かあったらお呼びしますから」
> と、提案した。

「えぇ…そうですね。」

 でも、これだけは言わせてもらいたかった。
 僕は向き直ると、

「…クーへさん、貴方にもご家族はおありなのでしょう?その方たちにまで辛い思いをさせる必要はないのではないですか?」

「人を裏切って罪に陥れるなどと言う真似をするあなたを、誇りに思う娘や息子がいるでしょうか?貴方自身はどう思うのですか?」

「僕はもう、何も言いません。この一件について、僕の口から出る事はないでしょう。けれど、貴方の良心はどう判断するでしょうか?」

「僕が言いたいのは、それだけです。口を挟んで申し訳ありませんでした…」

 そう、僕が口を挟むような事ではなかったのかもしれない。
 けれど、必死でやっている人の努力を無にするような行為は、許せなかった。

> そして、
>
> 「さっきの話の続きですけど…心当たりはね、ありますよ…」
> オリヴィエの耳元で、そっと囁くアーガット。ひとつ呼吸を置いて。
> 「それはね、僕のせいなんです」
> そっと微笑む。それは、哀しみと深い孤独に満ちていた。

「えぇ…その辺りについては、またいずれ…今夜にでもお伺いしますよ。」

 聴かれないように抑えた声で。

「こんな稼業でなんなんですが、どうも“獲物”を獲る事に迷いがありまして…最近。」

 苦笑混じりに。

「それでは、ちょっと行って来ます。分かり次第お伝えします。どちらの方にいらっしゃいますかね?」

 その答えを聞くと、僕は走り出した。
 嫌なものから逃れるように。
 多分にそれは、余計な口を叩いた自分自身からではあったが…。