BACK HOME NEXT








44.出張先のホテルの話 その1

会社に勤めだして初めての出張は、東京は四谷のホテルで一泊だった。
ちょいと年期の入ったビジネスホテルで、廊下の突き当たりの二人部屋で、同僚と泊まることに。
鍵を受け取り、部屋の前へ立ったとき、小さな声が聞こえたような気がした。…なんとなく、女の人のすすり泣きっぽい。
入ってみても妙に暗く、空気がよどんでいる。あまり、いい気持ちはしない。結局その夜は、二人して上司の部屋に押し掛け、強引にそこに泊まった(をい)。
翌日、私達が泊まるはずだった部屋で夜を明かした上司は一言。
「金縛りにあったよ」

帰り際、部屋の隣にある非常階段を開けてみると、眼下に小さな墓地があった。
45.出張先のホテルの話 その2

その時のホテルは、川沿いのビジネスホテルだった。東京の下町にある、やはり年期の入ったホテルで、今回はシングルで2泊だった。
入った瞬間、「この部屋とは相性があわん」と直感した。空気は重いし、部屋は妙に暗い。やはり、妙に寝付けなかった。
特に何が出てきた、ということはない。ただ、川に面した壁の一角に浮き出ていた、梯子状の黒いシミが、異様に気持ち悪かった。まあ、それだけの話ではあるけど。
46.遊び先のホテルの話

夏の有明戦線(笑)に参戦のため、Z姐と二人して上京。いつも利用しているホテルに、いつものように宿泊した。夜の約束まで時間があるので、仮眠を取ることに。その時に見た夢なのだが…
「ベッドの足下が1メートルほど長くなって、その向こうで髪の長い女の人が、片頬をベッドに預けるように顔を乗せていた。右手を上げ、指をだらんと下げたまま、こちらをじっと見つめている」
でも、特に怖い感じはなかった。

そういえば、寝付く前に人の話し声がぼそぼそ聞こえていた。私は、隣の部屋のテレビの音だと結論付けたけど。
後でZ姐も「夜中に視線を感じてよく眠れなかった」と、申しておりましたっけ。
47.旅行先の話 おまけ

これに限らず、ダンナとツーリングで年に何回かホテルや民宿に泊まる機会はある。
が、実はこれまで「怖い話」系にはとんと縁がない。と、いうのも、ダンナは「霊を弾く体質」だそうな。3人の
霊媒師に云われたことがあり、本人も自覚がある。
「なんか気配を感じて、はっとすると何かが退く気配はするよ。ふっと顔を上げると、描けていた服がどさっと落ちたりするし」
だ、そうな。

それでも、前はちょっかいをかけられたことはあるらしく、バイクで走っている時、胸元に女の人の手が滑り込んできた、ということもあったらしい。手の気配はすぐに消えたが、さすがに驚いたそうだ。
48.子供部屋の話 おまけ その1

これを読んだ妹が、思い出したことである。「そういえば、あの部屋確かにヘンだったよ〜」と。
仕事を辞め、一時あの暗い方の部屋を自室にしていた時、不意に記憶がなくなったことがあった、というのだ。
コタツに入って、何かをしようとした瞬間意識が飛び、2時間後、気が付くと仰向けに倒れていたそうだ。
後にも先にもそんなことは無かった。
妹曰く、「どうも猫がいると、感じ方が強くなるみたいやわ」とか。
あと、襖が中途半端にちょこっと開くと、そこから何かが入り込む気配を感じていた、とも話していた。
49.子供部屋の話 おまけ その2

その妹だが、実は私が体験したくても出来なかった“幽体離脱”も経験している。
中学生の時、夜中にふと目覚めると、宙に浮いている。足下には、眠っている自分。
「これが日頃ねーちゃんが云うてた“幽体離脱”か」と気が付いた。
試しに人差し指をつまんでのばすと、ピノキオの鼻のようにびょ〜んと伸びた。“幽体離脱”を確認した妹は、「未来が見たい」と思ったが、残念ながら記憶はそこで途切れてしまった。

本当に見たのか、夢だったのかは私のあずかり知らぬことではあるが。


BACK HOME NEXT