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17.夢の話 その1

「夢」、特に予知夢は、お化け絡みの話同様、私自身はそんなすごい体験がざくざくある方じゃない。
どちらかといえば、母からよくそんな話を訊いた方だ。母は「カン」の強い人で、昔からよくその類の夢を見てきた。
例えば「電車に乗ってて、向こうの車両から車掌さんが来た夢を見ると、2,3日中に手紙が来る」とか、
不意に電話がかかって来て、「カラスの夢を見て、心配になってかけた」ということもしゅっちゅうだった。
カラスに関しては、当たるよりはずれることの方が多かったが、それは離れて一人で暮らしていた私を心配する親心の表れなのだろう。
その母から訊いた話の中でも、一番強烈なのがあった。

母がまだ結婚する前の話。
ある晩寝ていると、突然一人の男が家の中へ押し入って来た。手には血まみれの包丁を握り、着ているものも真っ赤だった。そして
「俺はたった今、4人殺して来たんだ!」
と、大声でわめき散らした。母はあまりの恐ろしさに、そこで目が覚めた。夢だったのだ。
しかし、とても生々しい光景と血の色に恐怖心が消えないまま翌日を迎え、そのまま数日が経ったある日、近隣の県で起こった、ある事件を知った。
それは男が民家に押し入り、一家4人を刺し殺すというものだったそうだ。

18.夢の話 その2

こんな母の娘であるが、幸か不幸か値が粗雑に出来ていて経験は少ない、と先程述べた。ただ、少ないだけで、ないことは、ない。今から話すのは、数少ない予知夢の体験談である。

小学校5年か6年の頃。
夕暮れの海を、手漕ぎボートで沖まで出て、そのままゆらゆら一人で浮かんでいた。沖と云っても、両端に島影が見え、左手の方には灯籠のような灯台が浮いていた。ここが、瀬戸内海だと、子供心にもすぐに分かる風景だった。
その時、ふと見上げた私に向かって、巨大な火の玉のようなものが落ちてきた。厳密に云えば火の玉ではなく、土星型UFOだった。それが真っ赤に燃えながら、自分に迫って来る轟音も凄まじく、耳をつんざくとはこういう事を云うのか、と思ったほどだった。
あまりの怖さに「あっ」と叫んで、目が覚めた。その夜は、もう眠ることが出来なかった。

3日後の夜。
家で家族揃ってテレビを観ていたら、突然地震が起こった。しかし、地震にしては妙な揺れ方だった。「ドーン」という音もしたし・・・一体、何だったんだろうと話して、その夜は終わった。

翌日、新聞の一面欄に「瀬戸内海に隕石落下」の見出しが乗った。
その後、この隕石がどうなったのかは知らない。ただ、当時新聞にも載ったし、その後小さくではあるが、愛読していた学習誌にも紹介されてたので、たぶん、本当に落ちたんだと思う。それが隕石なのか、実はUFOだったのかは、謎のままではあるけど。

19.夢の話 その3

予知夢の話はひとまず置いて。今度はちょいとイヤな夢の話を。

数年前書いた「真サムライスピリッツ」というゲームの小説本からみの話。題材が怨霊の総大将と、人の心を捨てた剣客のカラミとあって、やっぱり「その手の話」は、そういうモノを呼ぶのだろうと思った一件。

話もあらかた進んだある晩、変な夢を見た。
昼下がりの山道、私は坂の上から坂の下を見下ろしていた。その私に向かって、何かがゆっくり駆け上がって来る。
それは何か。紅い腰巻きを巻いた、人間の下半身だった。走り方や身体のラインから「女性」だと分かる。
それが、スローモーションをかけた映像のように、ゆっくりと私に向かって駆けてくる。
それがとても「ヤバイもの」だと察した瞬間、目が覚めた。
でも、家の外に気配がする。なにかは分からないが、夢で見た「それ」が入る隙を窺ってぐるぐる回ってるように私には思えて仕方なかった。
しかし反面、不思議と怖くなかった。「この家は確実に守られてる」という安心感があった。根拠を問われると困ってしまうのだが、その時、なぜか私はそう思えてならなかった。
実際、私はそのまま眠ってしまい、次に気が付くと朝だった。

後にA君にその話をすると、「鬼の話は鬼を呼ぶから、アカンで」と云われた。
その時、簡単な魔除け方法も教えてもらい、そんな夢をみることもなくなった。
(といっても、原稿を書いてる時に、後ろから覗き込まれるような気配はたびたび感じたが)

魔除けの梵字を遊び紙に印刷したその本は無事印刷され、完売したことも追記しておく。

20.夢の話 その4

夢がらみの話をもうひとつ。これは厳密にいえば、「人にとって怖い話」ではないと思う。今まで観たどの夢よりも、私にとって一番怖い夢だったからだ。

数年前の話。
私は山間の田舎町で、結婚式の始まりを待っていた。白無垢に身を包み、公民館らしき場所で式会場へのハイヤーを付き添いの人と待っていたが、いつまでたっても車が来ない。
仕方ないので、奥の間へ戻ろうと、付き添いの人に手を取られ、ゆっくり歩き出したところで目が覚めた。
その時、私はあまりの恐ろしさに声が出ないほどだった。一睡も出来ず、それから数日を身も凍る思いで過ごした。
どうして「結婚式の夢」を恐れたか。
つい2,3日前に買った夢判断の本に、「白無垢を着る夢は、一番近しい人の死を暗示する」と書いてあったからだ。その頃の私は、精神的に非常に不安定だった。いつもなら一笑に付す出来事も、深刻に受け止めてしまうほど、余裕がない状態だったのだ。

結局、夢は外れた。ダンナも、両家の家の家族も今も健在である。
そしてそれっきり、私は夢判断の本を手にすることはなくなった。家にあった夢判断の本も捨てた。
「厄災の回避の術を知らないままでいるのなら、当日までの時間を不安と恐怖で過ごすより、何も知らないまま明るく楽しく暮らして行く方が遙かにいい」
そう思ったからである。



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